こんにちは!!keeです。まもなく始まるマラソンシーズン。積み上げてきた日々のトレーニングを無駄にしない為には、知っておかなければならないことがたくさんあります。
今回紹介する『カーボローディング』もその中の一つです。
カーボローディングとは…
結論から申し上げますと…『カーボローディング』とは、体内に溜め込まれるグリコーゲンの量を通常よりも増やす特別な食事方法のことです。
身体を動かすためにはエネルギーが必要です。
そのエネルギーは『脂肪』や『炭水化物』を原料にして作られます。『脂肪』や『炭水化物』は食物から摂取するのですが、エネルギーに変換されなかったものはいくつかの過程を経て体内に貯蔵されます。『脂肪』は主に皮膚の下や内臓にへばりつく形で、『炭水化物』は肝臓や筋肉にグリコーゲンという形で貯蔵され、必要に応じてそこから少しずつ取り出されていくので、人間は多少の空腹や数日の飢餓状態でも動けなくなるということはありません。
また、人間の身体は状況に応じて脂肪や炭水化物を使い分けることができます。脂肪だけを使うとか、炭水化物だけを使うということは基本的にはなくて、身体を動かす運動強度によってその配分が変わってきます。状況に応じて最適な配分を選んでいます。ウォーキングやジョギングといった低い強度の運動では脂質の配分が多くなり、反対に強度が高く、かつ長時間動くマラソンなどの場合は、炭水化物の配分が多くなります 。
通常のグリコーゲンの貯蔵量では、フルマラソンを全力で走り切るにはぜんぜん足りません。『カーボローディング』を行う事で、筋肉中のグリコーゲンを2〜3倍、肝臓には約2倍のグリコーゲンを蓄えることを可能にすることができるといわれています。レース中の補給と併せてフルマラソンでの後半に、失速してしまう可能性を大幅に減らすことが出来ます。
カーボローディングのやり方
1.レース1週間前~4日前の間にトレーニングランを
グリコーゲンの貯蔵は『グリコーゲンの消費』があってはじめて起こります。そのために大会の1週間(7日)前~4日前の間に、ある程度の強度のランニングをする必要があります。というのも、
“片脚のみの運動後に3日間の高糖質食を摂取すると、運動を行った脚のみにグリコーゲンの超回復(貯蔵)が生じる” Bergström, Jonas, and Eric Hultman. “Muscle glycogen synthesis after exercise: an enhancing factor localized to the muscle cells in man.” Nature 210.5033 (1966): 309.
という研究結果があるように、ただ高糖質食を食べるだけでは効果を得られないのです。レースまで疲労が残らないように、1週間~4日前にレースペースで10km程度走って、しっかりと体に刺激を与えることで、ようやく『カーボローディング』をする準備が整ってきます。
2.レース3日前~前日まで『ごはん多め、脂肪少なめ』
食事では、どんなものを食べればよいのでしょうか?
現在推奨されている方法は、レース3日前から『高糖質食』=『ごはん多め、脂肪少なめ』を食べ始めることとされています。摂取カロリーは普段とあまり変えることはないため、ご飯などの主食を増やす分、脂肪分の少ない主菜にしていく必要があります。豚カツやから揚げではなく、親子丼+うどんにするといいですね!
高糖質メニューのお手本は「丼物+めん類」
そもそも『高糖質食』というのはどの程度の糖質をとる食事なのでしょうか?カーボローディングで採用される『高糖質食』とは、24時間で体重1kgあたり10g程度の糖質をとることをさします。すなわち、体重50kgの女性なら500g、65kgの男性なら650gです。1日糖質摂取量は通常の場合、女性200-250g、男性300-350g程度ですから、カーボローディング時は概ねその2倍量を摂取することになります。よって、普段食べている主食を単純に2倍量食べればよいことがわかります。メニュー選びに迷った場合は、親子丼+うどんといったように、「丼物+めん類」の組み合わせをチョイスするとよいでしょう。表1におもな丼物とめん類の糖質・脂質含有量をまとめました。50kgの女性なら1食170g、65kgの男性なら1食220gの糖質がとれるように組合せて食べるとよいでしょう。
レース3日前からの夕食例
レース3日前:まぐろ丼+つけ麺
レース2日前:かけそば+親子丼
レース前日:煮込みうどん+おにぎり
また、アルコールの摂取はグリコーゲンの貯蔵を抑制してしまいます。カーボローディングをするときは、少しだけ我慢して、ゴール後に美味しくいただきましょう!!
レース前日は、生もの、消化の悪いもの、食べ慣れないものなどは控えてください。
3.当日の朝は “軽め” のエネルギー補給で
予定通りに『カーボローディング』が進んでいれば、当日の朝食は少し軽めでもOKです。
ただ睡眠時に肝臓のグリコーゲンが半分程(グリコーゲン250kcal分の消費)に低下してしまうため、朝食でその補充をする必要があります。でもこのとき、無理して食べ過ぎてしまうと、スタートまでに消化しきれない可能性も出てきてしまいます。消化しきれない状態で走ると、血液の循環が悪くなり、筋肉にうまくエネルギーが行き渡らなくなってしまいます。また、胃に残っていれば逆流して吐き気を催したり、小腸に残っていると下痢や腸の痙攣が起こることもあります。
『カーボローディング』の仕上げはレース当日の朝食です。餅入りのうどんやおにぎりなど、穀類主体で消化の良いものを食べるようにし、クエン酸を含んだ果物か果汁100%のオレンジジュースをプラスします。こうすることでクエン酸がグリコーゲン蓄積に効率よく働きます。
私のオススメの朝食例
焼き餅(3個前後)に茹で卵1個(又はスクランブルエッグ)と果物1つ(バナナ)
これはあくまで私のオススメです。理想は4時間前、最低でも3時間前までに朝食は済ませておきましょう。
4.荷物預け時間のスタート60~30分前の糖質摂取は控えて
「なるべくエネルギーを蓄えておきたい、節約しておきたい」とスタート時間ギリギリまで炭水化物を摂る方もいるかと思いますが……、スタート60~30分前に炭水化物を摂取すると、血糖値を下げるホルモンのインスリンがちょうどスタート時に分泌され、ランニングによるエネルギー消費(=血糖利用)と相まって低血糖(インスリンショック)を起こすリスクがあります。
レース1時間前:おにぎりやバナナなど…
レース30分前:アミノ酸やゼリー飲料など…
最後の最後は走ることに集中できる状態でいることが、レースでしっかりと走るために大切なことだと思います。当日は慌てず、無理せずマイペースに準備を整えましょう!
さぁ、これでレースは『速く』走れる! ?
ここまで『カーボローディング』についてご紹介してきましたが、『カーボローディング』を取り入れることで、決して速く走れるようになる訳ではありません。
速く走れるようになるためにやるべきは、日頃のトレーニングの積み重ねしかありません。
『量をこなしていないやつに質を語る権利なし』
本田圭佑
『カーボローディング』がうまくいった場合は車で言う『ガソリン満タン』の状態と同じなので、エネルギーを持続したまま、一定のペースで長時間走り続けることが期待できます。
『カーボローディング』を含めたコンディショニングはとても複雑で、いつものコンディションと異なる要因にもなります。そのため、事前に試してみて調子が上がらないようであれば、無理をしてカーボローディングをする必要はありません。
何より大切なことは、怪我を予防しながら、日頃からしっかりとトレーニングを積み重ね、ベストなコンディションでスタートラインに立つことです。
ここまで頑張ってきた自分を、仲間を、みんなで褒め称えましょう!
昨日の自分をわずかにでも乗り越えていくこと、それがより重要なのだ。長距離走において勝つべき相手がいるとすれば、それは過去の自分自身なのだから
村上春樹
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
ナイスラン!!